鎖骨骨折しました。
と、言ってもワタシではなく。
ウチの母。
それは土曜日の一本の留守電。
『おぅ。美和か。お父さんだけど、電話くれるか?お母さん自転車で転んで鎖骨骨折したってよ。』
マ・ジ・デ?
お父さん留守電にメッセージ残せるの?
と、そこにびっくりしたわけではもちろんなく。
骨折?
と、慌てて母に電話する。
ワタシ『ちょっと、ダイジョウブ?』
母『ふふふふふ。ほんっと馬鹿でしょ。鎖骨骨折したみたい。』
ワタシ『なんで笑ってんの?てか’’骨折したみたい’’ってどういうことさ。』
母『ふふふふふ。土曜日だったから、先生がいなくってさ。でもレントゲンはとってさ。
そしたら・・・
折れてない右側の鎖骨と比べたらだけど。
こうなんていうのかなぁ。左側の鎖骨が・・・
くっついてないの。離れてんの。
それって折れてるって事だよね。おもしろいもんだねぇ。』
ワタシ『おもしろいかどうかわ知らないけどさ。痛くないの?』
母『痛いよ!』
ワタシ『(さっきまで笑ってたのに今度はキレキャラかぃ。)で、今はどういう状態なの?』
母『固定してる感じ。ま、二、三日入院だってさ。』
ワタシ『入院かぁ。大変だ。でもさ、今日は用事があっていけないから、明日朝早く行くから。何か必要なものあったらメールしといてね。』
母『はいはい。ありがと。』
数分後、母からのメール。
『それはそうと まだ 入院してないよ』
はい?と、慌てて電話する。
ワタシ『骨折したのにまだ入院してないってどういうこと?』
母『だから先生が今日いないんだってば。』
ワタシ『ダイジョウブなの?そこの病院。』
母『そこで死んだら死んだで、それは運命って事で。』
ワタシ『いや。’’鎖骨骨折で亡くなった。’’なんて聞いたことないから、それはダイジョウブだと思うけど。』
母『人には何が起こるかわからない・・・。もしかしたら、医療事故とか発生したりして・・・。』
ワタシ『あーごめん。ごめん。じゃ。とにかく明日朝行くから。』
翌日朝早く。
実家。
ワタシ『いやぁ。ダイジョウブ?痛くない?』
母『あー。来た来た。こっちこっち。ちょっと見て見て。』
と、母がワタシの真正面に立つ。
母『いい?こっちが右側の折れてない鎖骨でしょ。で、こっちが左側の折れた鎖骨。』
ワタシ『で?』
母『あれ。気づかない?よく見て。ほら。ここにあるはずの、左側の鎖骨が・・・・
ないの!!あははー。ウケル。』
ワタシ『あの。お母さん、ワタシ昨日2時間しか寝てないの。急いで心配してきたのにさ。ウケルって・・・』
母『あ。痛たたたた・・・・。美和ちょっとお茶入れて。』
(コイツ・・・確信犯。)
と、時間も時間だけに、知り合い数名で近所にお昼ご飯を食べに。
ワタシ『でさ。なんで骨折するくらいの勢いで転んだの?』
母『交差点渡ろうとしたら、信号が黄色になって、やっぱ行くのやーめた、って方向転換を急にしたら、向かいから若いお兄ちゃんの自転車が猛スピードでやってきて、ソレをよけようとしたら、なんていうんだっけ。あの三角の形したさ、シマシマの・・・・・。』
知り合いA『テトラポット?』
母『そうそう!テトラポットに・・・』
知り合いB『ちょっとすいません。それは港とかにある波よけのやつ・・・。』
ワタシ『・・・。言いたいのはコーンでしょ。』
母『それそれ。そのコーンに激突して、で折っちゃった☆みたいな。』
と、既に何人もの人に説明しただけに、スラスラと事故の模様を語る。
母『あーあー。お店休まなくちゃいけないなぁ。困ったなぁ。』
と、ワタシをチラ見。
ワタシ『あ。無理だょ。手伝えないから。今週は忙しいし。』
母『ふーん。困ったなぁ。困ったなぁ。金曜日の夜に転んだから、土曜日お店いけなくて、お店の中片付けないといけないのになぁ。あー。困った。困った。』
と、更にワタシをチラ見。
(いつからこんなに人にものを頼むのが上手になったのだろうか・・・。)
と、猛暑の中、確信犯に負けた私と知り合いの方々は、
馬車馬のように働かせられたのでした。
ワタシ『じゃ。終わったしそろそろ帰るね。』
母『あ。美和美和。どーせ店しばらく休むから、置いておいたら腐りそうな食材持って帰んな。
今週末キャンプ行くって言ってたでしょ。だから、焼肉のもみだれと、つけだれでしょ。あと、手作りのつくねもいっぱいあるから。これ、軟骨をミキサーだ砕いていれてるから、手が込んでておいしいのよ。』
ワタシ『えー。いーの!ありがと。超助かる。』
母『あと、これはすごいよ。中トロのサク。これだけの大きさだったら8000円はするわね。おいしいわょ。手伝ってくれてお礼ね。』
ワタシ『わーい。ありがと。みんなで分けよ。』
(なんだ。お母さん、確信犯とか言ってごめん。手伝ってくれたお礼をくれるなんてやるじゃん。)
と、休みを返上して、手伝って少しは親孝行できたかな。なんて感慨に耽っていたら。
そこで知り合いB。
『えー。いいんですか。こんなにもらっちゃって。僕達のバイト代としては高すぎませんか?』
母『そーねー。ま。明らかに8000円分働いてくれたとは言い難いけどね。なんか無駄な動きが多いって感じ。ま。いーわ。どーせ置いといても腐るだけだし。』
一同絶句。
みたいな。
ま。悪気なくそんな事をいう母の濃いキャラって事で許して頂けると幸いです。
そして先ほど。
ケイタイが鳴る。
母から。
『あーもしもし。美和。』
と、これ以上暗い声はないんじゃないか。というほどの低い声。
ワタシ『なに?なんかあった?』
母『これが最後の電話になるかもしれない・・・。』
ワタシ『え。なんで?』
母『今から入院してきます。そして私はあすの午前10時から手術です。』
ワタシ『あ。そーなの。手術早くしてもらえるようになってよかったじゃん。』
母『うん。だからコレが最後の電話になるかもしれないから・・・。』
ワタシ『・・・あ。ごめん電話入っちゃった。じゃーね。夜電話するわ。』
母『冷たい子だね。親が生死の境をさまよってるって言うのに。』
ワタシ『お母さん、生死の境をさまよってる人は、電話なんてできないの。わかった?』
母『あはは。そりゃそーよね。ま。行ってくるわ。あ痛たたたたた・・・・。』
・・・・・・。
と、どこまでも人に心配をかけるのが上手な母でした。
皆様も自転車の運転には気をつけて下さいね。